2012年6月27日水曜日

Canta! Timor


「平和とは、演説や政策ではない。生活そのものなんだ。」



わたしは、こんな映画を見たことがありません。
「映画を作るつもりではなかった」というところから始まった、1つの映画。
東ティモールに生きる人々や独立までの歴史にまつわる、『Canta! Timor』という映画。

東ティモールという国について知っていたことは、インドネシアの近くに位置するということと、数年前に独立した国であるということ。それのみ。
独立までに何があって、どれだけの人の血が流されていて、日本がどんな関わり方をしていて、今は人々がどう生きているのか、そんなことについて私は全く知りませんでした。
映画を見た今だって、何かを「知っている」と言える程、わかってはいないのかもしれないけれど。

監督の方がおっしゃっていた、印象深い言葉。
「私はたまたま東ティモールに縁があって映画を作ることになったけれど、それぞれの人がご縁があるところで、縁のある活動をすればいいと思うのです。
本当に、自分の体にやさしい暮らしをしていたら、世界にもやさしいことをしていて、ティモールのことを知らなくても彼らに迷惑をかけることはないと思うのですね、
しあわせのために動くことは、きっと、つながって、遠いひとのしあわせにもつながっていると思うのです。」
というようなこと。youtubeで見た、監督の広田奈津子さんのインタビューより。


本や映画、言葉や音楽に出来事や。
必要な人のところに、必要な量だけ、きちんと届くようになっているのだなぁ、ということを感じます。

「出会うべくして出会っちゃったんだね。」
映画の上映主催者の方に、言われたことば。
うまく文章でまとめることができないけれど、たくさんの人々のもとにこの映画が届いたら、と思います。

私はただただ、この映画が作られたこと、世に出たこと、出会えたことに感謝です。




2012年6月16日土曜日

あじさいの時期に




ちょうど去年の今頃引っ越してきたこの街を、同じ花が咲く時期にもう出ようと考えています。

「引っ越し貧乏」ってみんなに言われるけれど、でも仕方ないのです。引っ越したいから。別の場所に行きたいから。貧乏でも仕方ない。どうしようもないのです。

「同じ天井を3ヶ月見続けることができないんだ。飽きちゃうから。」と言う人に会ったことがあります。
「私は冷蔵庫を買った途端に手放したくなる。そんな大きい家電を持っちゃうと一気に重たくなっちゃうから。」と半年で引っ越す友人もいます。

私はもうちょっと長い期間一カ所に留まれる、とも思うけれど、結局彼らと変わらないのかもしれません。やどかりのような生活。

そろそろ落ち着いてもいいかな、とも思いながら。
落ち着く、というのは「ここで暮らす」という覚悟を決めることなのかもしれません。
次の街で、落ち着くことができるかどうかはわからないけれど。





2012年6月10日日曜日

長生きは良いことか?ということについて



総合病院のICUに看護士として4年間勤めている友人と久々に会って話をして、
その中で印象的だったこと。

「睡眠薬を大量服薬したくらいじゃ人間死なないよ。
そんなので死んだ人見たことない。」

「自殺しようとする人いっぱいいるけど、死ねない人、たくさんいるよ。
こないだもね、自分でおなか刺して運ばれてきた人がいたけど、死ぬ覚悟がないんだよね、傷が浅くてちょっと縫って終わり。その刺し方に全然覚悟がない。そんな人、多い。」

「日本の平均寿命は長いけど、脳死状態で生かされている状態でもそれは統計上生きていることになるからね。呼吸器で生かされているひとも、たくさんいるからね。」

医療技術の発達によって助かっている人がたくさんいることは知っているし、それを否定は決して出来ないけれど。
でも、ひとが、自由に、自然に、というか「死ぬべきとき」に死ねない世の中なのだなぁ、と。


以前誰かが言っていたこと。
「煙草をやめたほうがいいとか、煙草を吸わない方が長生きできるとか言われるけど、一体誰が俺の寿命を知っているんだろう?そんなこと余計なお世話で、自分が好きなように生きて、死ぬときがきたらそれが俺の寿命だと思ってる。」

「生きることがいいことだ」「長生きすることがいいことだ」と無理矢理に長生きさせられるよりも、どちらかと言えば、私はこのスモーカーの意見に、賛成。

まだまだ死ぬ気はないけれど、身近な人もみんな死んでしまったら困るひとばかりだけれど、でも、苦しみながら機械の力で悪あがきするよりは、きちんと死ぬことを迎えられるように、と思います。

健康な今だから言えることなのかもしれないけれど。それでも。